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PDF入稿のメリットとは?ファイル形式の特徴と印刷で選ばれる理由
2021/12/02 | 最終更新日時:2024/12/03

冊子などの印刷において、最近広く普及している入稿の形式がPDFによるものです。
これまでデータ入稿というとIllustratorなどを用いて行われることが多かったですが、もはやPDFでの入稿が主流となったと言っても過言ではないでしょう。
では、そもそもPDFとは何なのでしょうか。
環境に依存せずメリットの多い方法と言われていますが、まずはPDFの基礎知識と、PDF入稿のメリットや、逆にデメリットとなる点も併せて、印刷物の作成をお考えの方にお伝えします。
PDFとはどんな形式?
PDFというファイル形式の基本をまずは押さえておきましょう。
これは正確には「Portable Document Format」と言います。
アドビシステムズという企業が開発したファイル形式です。
PDFの優れているところは、このファイル形式で保存すると、どんな環境で開いても、テキストや画像などの中身が作成者の意図通りに表示できるところです。
たとえばWordやExcelなどのファイルで文書を作成した場合、作成者の使用するものとは異なるデバイスでファイルを開くと、意図したとおりに表示されないことがあります。
なぜなら、デバイスが異なればその表示設定も解像度も違っていることがあるからです。
そのため、このような従来のファイル形式を選ぶと、意図したとおりに情報が伝わらない恐れがあります。
このような従来のファイル形式のデメリットを克服したのがPDFというファイル形式です。相手の環境にかかわらず、レイアウトなど作った人の意図通りに情報を伝えられます。
このような特徴から、最近ではさまざまな文書がPDFで作成されるようになりました。しかも、PDFのまま配布されることが増えたため、紙の文書を作る場合よりもコストの削減にもつながる利点があります。
PDF入稿のメリットとは
便利なPDFは、印刷会社への入稿の場面でもよく使われるようになりました。
PDF入稿にはどのようなメリットがあるでしょうか。
メリット①データの容量を軽くできる
PDF入稿のメリット、ひとつ目は「データの容量を軽くできる」です。
PDFであれば、適切に出力を行うことでデータを小さくしても品質を保つことができます。
そのままのデータでは大容量になってしまう場合、PDF化は非常に便利です。
IllistratorやIn Designなどで作った元のデータをそのまま送ろうとすると、レイアウト情報などさまざまな情報がそのまま含まれるため、どうしてもデータ容量が大きくなりがちです。
大容量のデータは送信するにも開くにも時間がかかります。
パソコンのスペックによってはデータが思うように開けず作業がなかなか進まないといったこともあるでしょう。
そのようなトラブルがPDF化することで避けられます。
メリット②レイアウトを気にせず入稿できる
PDF入稿のメリット、2つ目は「レイアウトを気にせず入稿できる」です。
通常、印刷用の原稿を印刷会社に送る際には、「印刷用原稿」と、「レイアウト見本」を送る必要があります。
Illustratorなどのソフトを使った入稿の場合、お客様と印刷会社でOSやソフトウェアのバージョンをはじめとする環境が異なるために印刷用原稿の見え方が違う場合があります。
印刷会社で確認したものが、お客様の意図したものと一致しているかどうか確認する手段がありません。
そのため、レイアウト見本が必要となるのです。
しかし、PDFはデータ表示が崩れることなく、作成者が意図した通りに情報を伝えることができます。したがって、印刷物を作成する場合も、PDF入稿であればレイアウトの崩れを気にする必要はありません。
そのため、PDF入稿であればレイアウト見本は不要とする印刷会社も多いです。
メリット③フォントのアウトライン化が不要
PDF入稿のメリット、3つ目は「フォントのアウトライン化が不要」です。
フォントのアウトライン化とは、文字情報であるフォントをパスで構成されたオブジェクトに変換することです。
文字をアウトライン化することで、フォントの情報が破棄され文字が図形化されます。
これにより、あるフォントを使用して作成したデータを、そのフォントがインストールされていない別のPCで開いても、文字化けしなくなります。
Illustrator等での入稿の場合にはフォントのアウトライン化が必要ですが、アウトライン化を忘れてしまうミスもよく見られます。
PDFの場合にはフォントをアウトライン化する必要がないため、ミスを防ぐことにもつながります。
メリット④いつでもどこでも確認できる
PDF入稿のメリット、4つ目は「いつでもどこでも確認できる」です。
PDFファイルは、閲覧だけであればAcrobat Readerという閲覧ソフトが無料でダウンロードできます。
スマートフォンやタブレットなどにアプリを入れておけば、出先からでもデータの確認が可能です。
また、社内での共有にも便利です。
印刷会社から何らかの問い合わせがあった際に、すぐに確認して返答することができるので、結果として早い納品につながるでしょう。
PDF入稿のデメリット
メリットばかりに思えるPDF入稿ですが、いくつか気をつけたいこともあります。 ここではデメリットをふたつご紹介します。
デメリット①修正作業が困難
PDF入稿のデメリット、1つ目は「修正作業が困難」であることです。
軽微な修正であれば、Acrobatで編集することが可能です。
しかし、データに大幅な修正が生じた場合にはPDFに変換する前のソフトを使って修正することになります。
PDF化した段階の元ファイルを開き、必要な編集をし、再度PDF形式で保存するという流れになります。
編集や修正を元のファイルで行う可能性があるため、PDFに変換したからもう使わないと思って元のファイルを削除してしまうと編集や修正ができなくなります。
元のファイルは印刷物の納品までしっかりと保存しておきましょう。
デメリット②フォントによっては埋め込みができない
PDF入稿のデメリット、2つ目は「フォントによっては埋め込みができない」です。
PDF入稿のメリットとして、Illustratorなどと違ってフォントのアウトライン化が不要なことは先にもお伝えしました。
残念ながら全てのフォントを埋め込めるわけではありません。
その場合には狙った通りのフォントにならないこともあります。
どのフォントなら埋め込めてどのフォントなら埋め込めないのかを事前に把握することは難しいです。 PDFで保存したら、入稿データとして印刷会社に送る前に、フォントがきちんと埋め込まれているかを確認しましょう。
デメリット③色合いが変わってしまう場合がある
PDF入稿でのデメリット、3つ目は「色合いが変わってしまう場合がある」です。
考えられる原因は、以下の2つです。
- 元データを作成したソフトとPDF閲覧ソフトでカラーマッチングが違う
- PDF保存設定でカラープロファイルの設定ができていない
入稿する前に一度開いて元のファイルと相違ないか確認しておきましょう。
PDFで入稿する場合に注意しておきたいこと
少し前までは、PDFの形式にファイルデータを出力しようと思ったら、複雑な手順をたどる必要があったのでよくエラーも起こっていました。
しかし、最近では誰でも手軽に出力できるようになっています。
ですので、最初にしっかりと設定しておけば、それほど大きな問題が起こる心配はないでしょう。
一度設定ができたら、以降は同じ設定で出力すればよいので、最初の設定だけ特に注意して行ってください。
PDFではトンボと塗り足しに注意
トンボとは、冊子などの印刷データを作成する時に、どんなサイズに仕上げるのかわかるように断裁のための位置を指定するための目印です。
このトンボが正確についている必要があるので、データ出力の際に確認しておいてください。
もう一つ、塗り足しの設定も必要です。
塗り足しとは、印刷物ができあがった時のサイズより外側にある裁ち落とされる部分です。
紙の隅まで印刷する場合、この塗り足しをある程度確保しておく必要があります。
具体的には3ミリほどです。
それがないと、断裁した時に紙がずれてしまい、余計な白い部分が紙の端にできてしまうことがあるので注意です。
なお、塗り足しの有無はどんな印刷物を作成したいかによっても違ってくるので、よくわからない時は印刷所に尋ねましょう。
PDFデータの作成方法
いろいろと便利な点が多いPDF入稿。
では、PDFデータはどのように作ればよいのでしょうか。
ここでは3つの代表的なソフトについてPDF化の手順をお伝えします。
Illustratorの場合
Illustratorの場合のPDF化手順は以下の通りです。
- 「複製を保存」からデータを保存
- ファイル形式から「Adobe PDF(pdf)」を選択
- 「PDF/X-1a:2001(日本)」形式を選択
- 必要に応じて「トンボ」の設定をする
- 「PDFを保存」を押す
なお、プリントダップではIllustrator用の印刷テンプレートをホームページ上で公開しています。 便利ですので是非ご活用ください。
InDesignの場合
InDesignでPDFの書き出しをする場合は以下の通りです。なお、InDesign CC/CC 2014の場合でご説明します。
ドキュメントからの書き出しの場合は以下の手順になります。
- In Designを起動し、PDF化したいファイルを開く
- 「ファイル/書き出しを選択」からデータを保存
- 「Adobe PDF(インタラクティブ)」または「Adobe PDF(プリント)」を選択
- ファイル名と保存場所を指定し、「保存」を押す
ブックからの書き出しで、ブック全体をPDF化したい場合には、ブックパネル内でファイルを選択せず、パネルメニューから「ブックを PDF に書き出し」を選択します。
ブック内の一部のドキュメントを書き出す場合には、ブックパネル内で書き出すファイルを選択した後でパネルメニューから「選択したドキュメントを PDF に書き出し」を選択します。
Microsoft Officeの場合
Mifrosoft Officeの場合は以下の通りです。
- 各種ソフト(Word、Excel、PowerPointなど)を立ち上げる
- PDF化したいファイルを開く
- 「ファイル」から「名前をつけて保存」を選択
- ファイル形式をえらぶポップアップ画面で、「PDF」を選択
- 「保存」を押す
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PDF入稿で入稿をスムーズに進めよう
現在、主流となっているPDFによる入稿にはさまざまなメリットがあります。
環境に左右されず、意図した通りのレイアウトやデザインになること、フォントが埋め込まれるためアウトライン化する必要がないことなどです。
データの縮小も容易で、アップロードもしやすくなっています。
そのため、印刷所もPDFでの入稿を歓迎するところは多いです。
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